「美術のなかの写-技とかたちの継承展」鑑賞の感想

三井記念美術館で開催中-「美術のなかの写-技とかたちの継承展」の観にいった感想を記したいと思います。
陶芸や能面もありましたが、メインともいえる「雪松図屏風」とびっくり仰天した工芸品にしぼって書きます。

「雪松図屏風」を写す意味

見所である円山応挙の国宝「雪松図屏風」は「そのまま写す」のテーマとして展示されています。そしてそのお隣には国井応陽が写した「雪松図屏風」が展示されていました。

私はなにしろまったく同じ絵柄であるこの2つですから、思わずなんども首を左右に振りるぐらいどこがどうで違いがあって、どっちが優れているかとか、意地悪なほど2つを比べてしまったのですが、国井応陽の模写作品は応挙のそれとはもうほぼ違わないほど優れたものと思いました。強いて言えば、応挙のほうが若干繊細で細かいかなと言う程度です。美術商の目利きが観たらどうかはわかりませんが。

「雪松図屏風」は、応挙が生きている間はもちろんのこと、死後でも円山派の絵師たちに繰り返し写され続けてきたのです。

応挙には長澤芦雪とともに「源琦(げんき)」という優れた弟子がいたのですが、その彼も「雪松図屏風」を写しています。写した時は寛政4年の1792年(モーツァルトが亡くなった次の年!って関係ないですか・・)、応挙存命中でしたから応挙のおすみつきというわけです。その作品は現在エツコ・ジョープライス・コレクション所蔵になっています。ちょうど現在、東京国立博物館で開催中の「若冲と江戸絵画展」では出品されていないのですが、観てみたいですね。

そのほか、近代日本画の巨星、川端玉章も「雪松図屏風」を写しています。「雪松図屏風」を写すことは、自分の画技に自信を持っていないとできないことです。応挙に対する尊敬の念があり、円山派の画家である「あかし」なのですね。

びっくり仰天の象牙の果菜置物

この展覧会では素晴らしいものが観られます。「自然を写す」というテーマで「安藤緑山」という象牙作家が作成した象牙の置物なのですが、超本物そっくりの果物たち・・スーパーリアリズムの極地が味わえます。

染象牙果菜置物」「染象牙貝尽くし置物」という作品で、ぜひ観て欲しいです。なんでも著色法は秘伝だったので緑山一代で途絶えてしまったそうです。そりゃそうかもしれない?!

あと高瀬好山という作家が作成した「自在昆虫置物」という虫たちの作品群も同様にすごいです。

とにかく実用品ではないのに時間と費用を思いっきりかけるという贅沢な大人の遊びと趣味の世界というのがあるのです。私が見ていた近くの女の子が「すごーい」と言っていました。

敷居の高いといわれる日本美術ですが、決して高くないのです。ぜひ夏休みの機会にどうぞ。

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