「ルソーの見た夢、ルソーに見る夢展」の感想 世田谷美術館

DSCF0931.JPG「ルソーの見た夢、ルソーに見る夢展」はなかなか好企画な内容でした。

世田谷美術館は砧公園内にある美術館なのですが、その公園まで最寄りの駅である東京急行電鉄田園都市線(昔は新玉川線と呼ばれていました)の用賀駅から歩いて15分ほどです。10分では着きませんね。走ったら着くでしょうけども、要するに近くはないところです。

そのため電車などで来ている人間にとっては、なんとも交通の便がいまいちという気がいつもしています。

この世田谷の用賀あたりの住宅地は、なんといいますか、千葉や埼玉に住んでいる人間にとっては、高所得な方々ばかりが住んでいるという、かなりな偏見の目で見てしまいます。たとえそんなこと無いよ、といわれてもですね。そう感じてしまうのです。砧公園で遊んでいるちいさな子供を連れた家族などを見てみると余計それを感じてしまいます。しかし砧公園いいところですねえ。

DSCF0930.JPGでも世田谷に住むより、地方から来て世田谷の町を歩くという方が、町を見る楽しみみたいなものがありますから、たまに来るという方が新鮮味があって良いかもしれません。

というわけで、また前置きが長くなってしまいました。「ルソーの見た夢、ルソーに見る夢展」ですが、以前、世田谷美術館の2階にある常設展示室で、ルソーの絵を何度か見ていますので、世田谷美術館でルソーのをやることに特別違和感はありませんし、いまさらルソーをね・・・ということで、感心ある芸術家の一人ではあるのですが、頭の片隅に「ああまあ展覧会をやるのね」という程度の認識しかありませんでした。

しかし、やっぱり自分は感心はあるみたいで、なんとなくチケットを購入しまして行ってみたのです。正直当初は行くつもりはありませんでした。

会場に着いてみると、意外といえば意外だし、そうでもないといえばそうでもないことなのですが、人が混雑していたのは驚きでした。私個人の経験(経験といっても世田谷美術館は数回程度ですが)からに限れば、あんなに世田谷美術館が混んでいる様子をみるのは初めてでした。

ルソーってそんなに人気あるんだという発見があったわけですが、展示を全部見終わってみると、なぜ人気あるのかはわかる気がしました。

この展覧会はルソーの作品はもちろん、ルソーに多大な影響を受けた日本人の画家の作品も多数展示してあるという、まさにルソーワールドな展覧会でした。日本近代に活躍した洋画家はもちろん、日本画家もルソーにやられ、はたまた写真家もルソーにやられ、現代作家もルソーに敬意(?)をはらうような、そんな内容です。

なかなか考えられたというか、よく練られた企画だなーというところがこちらに伝わっているような内容で、思いのほか面白いものでした。おかげで買うつもりのない図録も購入しました。また懐が寒くなります。

DSCF0929.JPGルソーはヘタウマの元祖とか言われていますが、私は下手とは思いませんでした。そもそもルソーの絵に対して「素人の絵」という認識は自分はないのです。3年前(もう3年前!?)の2003年に渋谷などで開催された「メトロポリタン美術館展」でルソーの名品《ライオンの食事》が展示されていたのを覚えているのですが、ど素人の絵という気はまったくありませんでした。それどころか、立派な作品だと思ったものです。

ルソーの絵が数々展示されている中に《フリュマンス・ビッシュの肖像》(世田谷美術館所蔵)という作品があったのですが、これはその絵の肖像になっているフリュマンス・ビッシュが結婚後わずか1年で亡くなってしまったため、悲しみに暮れていたその奥さんを慰めるために描いて贈った絵なんだそうです。その絵はずーっとその奥さんが大事に持っていた。そういう話を聞いて「いいはなしだなあ」なんて単純に感動したりして楽しんでおりました。

ルソーの展示が終わったあとは、素朴派と呼ばれるルソー以外の海外画家の紹介ということで、ボーシャン、ボンボワ、ヴィヴァンなどが展示されていました。特にヴィヴァンはさすがに「素人丸出し」という感じの絵でしたが、これはこれで、家に飾っても面白くて良いなあと思わせるものでした。私はこんな小学生のような絵は嫌だという人はいるかもしれませんが(笑)

次は日本の洋画家です。藤田嗣治や小出楢重などの比較的有名なのもありましたが、個人的に気に入ったのは岡鹿之助の作品群でした。確かにルソー風でしたが、そんなことは関係なく画風が気に入ってしまいました。覚えておきます。

松本俊介はデカダンな雰囲気が印象的な作風。好き嫌い関係なく心に残る作品が多かったです。

DSCF0927.JPG日本画家も影響を受けていました。土田麦僊や小野竹喬や堂本印象や加山又造。みなさんルソー風でした。でも明らかにルソーよりダントツうまいです。さすがに当たり前ですが技術の高さを感じました。でもルソー風なんですね。

絵描きの一流プロが、ルソーという素人絵画にあこがれるというなにか不思議というかおもしろいことが起こっているわけです。特に思わず失礼ながら笑ってしまったのが堂本印象の《坂(京都)》という作品でした。本当にまさに日本画版ルソーです。

後はルソー風の写真とかが展示されていまして、写真の世界にも、ルソーにこれでもかというくらい影響が受けていたということがわかりました、そして現代作家にも及ぶと。ここまでまざまざと見せつけられるとルソーは凄い人ですね。やっぱりオンリーワンなことをやった奇跡のような芸術家だったんだなということを思いました。

秀逸な企画展です。東京では12月10日で終了ですが、その後、名古屋と松江に巡回。そこでまた多くのルソーファンを魅了することでしょう。

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コメント

  1. 江崎光博 より:

    私も行きました。愛知県立美術館です。ルソー単独の展覧会だったらもっと良かったのにと思いました。
    チラシに目を向けてみましょうにもコメントしています。

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