「矢内原伊作とともに-アルベルト・ジャコメッティ展」の感想 川村記念美術館

当初、行くつもりのない展覧会でした。しかし、上野の東京都美術館の図書室で、なにげに置いてあったこのジャコメッティ展の図録を立ち読みした瞬間、「これは行かねば」と思ってしまいました。

そこにはあの細長い体をなしたブロンズだけでなく、スケッチらしきものや、絵画などがたくさん載っていたからです。というわけで終了一週間前、急遽車でいそいそと行ったのでした。

ジャコメッティという彫刻家の名前は、さすがに有名ですから知っていたのですが、自分そんなに興味はなく、「あーあの細長い体のブロンズを作る人ね」ぐらいの認識しかなったのですが、鑑賞してみて改めて思ったのは、やはり食わず嫌いはダメだなということでした。

スケッチや絵画作品がお目立てで、見に行ったのですが、それまでそんなに興味なかったブロンズ像の作品を実際実物を自分の目で見て、結構印象が変わりました。とても興味深いものでした。

ジャコメッティの作品は写真でわかったつもりになってしまってはダメですね。どんな作品でもそうですが、特に彫刻などといった立体作品は、まず実際に自分の目で見ないといけないのでした。

新聞のはじっこに描かれた顔のスケッチがいくつかありましたが、こういうのを見るのは楽しいです。他にもたくさんあるのでしょう。余談ですがNHKの「プロフェッショナル・仕事の流儀」という番組で、ゲストがカーデザイナーの奥山清行さんの時、彼が持っている新聞紙がちらっと見えたのですが、隅っこの空欄部分に車のスケッチが描かれていました。それと同じわけですね。

彼が残した肖像のモデルは、親しかった哲学者・矢内原伊作や、ほとんど身内の人間だったということでした。しかし絵画に限って言えば描かれた肖像が全部真っ正面なのです。横からや斜めからの肖像がほとんど無い。潔いくらい真っ正面ばかりです。ジャコメッティの作品は「真っ正面」がひとつのポイントでしょうか。

あと、顔の部分だけやたら細かくぐにゅぐにゅ描いたり、まるでガイコツを黒や灰色で塗りたくっているようなイメージがありました。とにかく塗りたくっているためでしょうか、絵の具がどんどん重なり、顔の部分だけが盛り上がってしまっているのもありました。どの人も指摘していることだと思いますが、彫刻作品を作る感覚で絵を描いていた、ということでしょう。

その他は、《ヴェニスの女Ⅷ》の作品を見ながら解説札に「アサヒビール株式会社」の文字見つけて、アサヒビールが持っているのかーというミーハーな感想から、神奈川県立美術館所蔵の《裸婦小立像》という指一本ぐらいの小さな作品を見て「こんなちっちゃいのもあるんだ」というなにげない発見があったりして、思いのほか楽しんだりしていました。

一つだけ欲しい作品がありました。《3つの石膏の頭部》。
これかっこいいなと思いましたけども、オフィスやその廊下、踊り場などに飾ったら、かなり周りが引き立つのではと想像しました。

ジャコメッティの魅力を初めて知って、また今後楽しみが増えた一日でした。

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