「江戸の誘惑展」の感想-その2 IN 江戸東京博物館

DSCF0924.JPG前回では、ボストンにこれだけ素晴らしい肉筆の浮世絵が行ってしまった、ちょっと複雑・・のような話で終わりました。次は特に気になった作品をメモ感覚で書いてみます。そんなわけで今、購入した図録を眺めております。

そこで思ったのですが、展覧会図録に載っている日本画が、不思議と実物の魅力を損なっていないのです。

逆に油絵といった西洋絵画は、実物と図録の写真にあまりにも差があって愕然とすることが何回もあるのです。展覧会自体は悪くないのに図録に載っている肝心の絵が台無しという理由で購入を断念したことは少なくありません。

おそらく油絵独特の立体的とも言える質感や、光の当たり具合が、日本画よりもより大きく影響を受けるため、そこまでは写真では再現できないのではと、素人なりに想像(分析?)します。

残念ですがそこまで要求するのは酷です。一方、日本画は西洋絵画の迫力という点では負けるでしょうけど、本の図版にして載せても魅力をとどめるという汎用的な特色があるような気がします。それどころか「あれ?こんなによかったっけな?」と思う瞬間さえあります。おかげで図録眺めるとまた行きたくなってしまいます・・・

ということでいきなりですが、この「江戸の誘惑展」。

この展覧会にて私のナンバーワンの作品は、
喜多川歌麿の《三味線を弾く美人図》でした。

これはもう名作、傑作です。日本にあったら間違いなく重要文化財でしょう。図録に解説されているとおり「最晩年の歌麿作品が示す重厚ともいえる量感」が現れていました。その解説(だいたいすべてですが)は淡々と冷静に作品について細かく情感なしに語られていて正直面白くありませんが、見た瞬間、あっ歌麿だと思う典型的かつ見事な歌麿作品です。偽物でも歌麿以外が描いたものだったとしても完成度高いものだと言えるでしょう。

いい絵みたなあということで、こういう出会いがあるから週末美術館通いはやめられないのです。一枚こういう作品を見つけただけでこの展覧会は行って良かったと思うわけです。

ということでいきなりナンバーワンの作品を述べてしまったので、あとは適当に・・ではなくて、その調子でその他面白かったもしくは気になった作品挙げておきます。

■無款(菱川派)《江戸四季風俗図巻》

入口から入ってのトップバッターでしたが、のっけから江戸絵画の魅力を放っていた絵巻物。英一蝶っぽいところも感じましたし、気に入りってしまいました。

■菱川師宣 《芝居町・遊里図屏風》

東京国立博物館に所蔵されている師宣の代表的名品「歌舞伎図屏風」を思わせる大規模な屏風絵。これもボストンですか。そうですか。ボストンにありましたか。ボストンにいっちゃったんですか。そうですか。

■鈴木春信 《隅田河畔春遊図(すみだかはんしゅんゆうず)》

鈴木春信の極めて貴重な肉筆絵画。・・ですが、だめです。いくら貴重でもほとんど退色して魅力が落ちているという、その事実を隠すことはできないでしょう。完成度は高いとは思います。出来上がった当時は素晴らしかったでしょう。しかし今は・・・そういうことです。当時の姿をしのぶ今となっては貴重な作品・・・それでいいでしょうね。

■葛飾北斎 《鏡面美人図》
■葛飾北斎 《大原女図》
■葛飾北斎 《朱鍾馗図幟(しゅしょうきずのぼり)》
■葛飾北斎 《李白観瀑図(りはくかんばくず)》
■葛飾北斎 《唐獅子図》
■葛飾北斎 《鳳凰図屏風》

北斎の肉筆世界。言うことはありません。北斎の肉筆の前に黙るしかありません。
自分のお隣で《李白観瀑図》を見ていた女の方が、滝を「木かと思った」とお連れの人に言っておりました。大木のような滝。北斎の奇想天外な発想がここにもありました。
あと、提灯絵が二つありましたが、ボストンでは剥がして平面にされて保存されていたそうです。それを元の提灯の状態に復元しました。大変だったそうで、そのおかげで迫力ある力強いものに蘇りました。いい仕事です。

■鳥文斎栄之(ちょうぶんさいえいし) 《画巻「象(きさ)の綱」》
■勝川春潮((かつかわしゅんちょう) 《画巻「あぶな絵尽くし」》

春画巻が展示されていました。といってもさすがにあの「むきだし」のはありませんでしたが、その一歩手前の・・でした。さすが春画だけあって細かいところも仕事逃げてなくて完成度高いです。専門家の間で言われるという「春画を見ずに浮世絵語るな」を思わせられる瞬間です。

■鳥山石燕(とりやませきえん)《百鬼夜行図巻》

水木しげるの妖怪漫画「ゲゲゲの鬼太郎」世界がここにあるとは思いませんでした。完成度高し。これも必見ものです。

■松野親信(まつのちかのぶ)《立姿遊女図》

S字型の典型的な懐月堂派を思わせる美人画様式ですが、なんといっても着物のデザインが素晴らしい。これも見る価値おおあり・・でした。

ということで、これ以上あげてもキリないくらいです。見応え十分な展覧会でした。

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コメント

  1. 江戸東京博物館にて開催されている
    ボストン美術館所蔵 肉筆浮世絵展「江戸の誘惑」
    http://www.asahi.com/boston/in

  2. T.K より:

    お久しぶりです。楽しく拝見させていただきました。
    石燕の「百鬼夜行図巻」の肉筆浮世絵ってボストン美術館にあるのですか?
    それは、、、欲しいです^^
    私は水木しげるの妖怪画が好きなのですが、水木さんは石燕さんの妖怪画をベースにしてるのも多いです。
    石燕の画力については私には分かりませんが、私は好きです。面白ければ何でもありな感じがして。実際当時、石燕の「百鬼」シリーズは売れたみたいです。
    春画といえば、「エルトン、ジョン」ですね。スーツの裏地に春画が描かれています^^ 幕末には「日本人と外国人もの」とかもあったみたいでそういうものが描いてあったり^^

  3. geta より:

    T.Kさんこんばんは。
    妖怪図お好きのようで鳥山石燕はその筋では有名なんでしょうか?
    私もこういう絵巻欲しいですね。
    とにかく「百鬼夜行図巻」は出来映えのすばらしいものでした。
    しかし「スーツの裏地に春画が描かれています」ってなんですかそれはっ。
    見てみたい(笑)

  4. T.K より:

    鳥山石燕は妖怪画の元祖みたいな方です。後の絵師は、石燕の妖怪を基に描いてます。

    外国人の考えていることは、私には分かりかねます。ただステージ衣装で着用しておりました。(笑)

  5. geta より:

    鳥山石燕。そうなんですかー。
    ありがとうございます。
    勉強になります(笑)

    あとあれステージ衣装ですかー。
    見てみたいような見たくないような・・・

  6. 江戸東京博物館で10日まで開催されていた
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    「ボストン美術館所蔵 肉筆浮世絵展 江戸の誘惑」へ…

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