「大エルミタージュ美術館展」の感想 IN 東京都美術館
エルミタージュ美術館の所蔵品だけで構成された展覧会は、日本でもうすでに過去何回も開催されてきたと思うのですが、今回は15世紀ヴェネツィア派から20世紀までの絵画で構成されていて、テーマは「都市と自然の人々」です。
ということは肖像画の巨匠レンブラントなどは来ないわけで、田舎の風景画や都市の風景画、自然と人、都市と人といった絵が主なものでした。
といわれても、会場にきた観覧者のほとんどの方は、そんなテーマは関係なくて、とにかくエルミタージュが所蔵している西洋絵画に浸れるので見に来ているわけですね。
そう考えると「大エルミタージュ美術館展」なんて大げさなタイトルな感じがします。ただそうしないとお客さん来ませんからね(笑)
エルミタージュ美術館は所蔵点数が300万点もあるという膨大な数のコレクションなわけですが、そのうち絵画が1万6657点です。
全部のうちの0.3%程度ですが、これは意外に思われた方も多いと思います。彫刻、工芸品、考古学資料や世界中の貨幣などのコレクションが大半です。この「大エルミタージュ美術館展」ではそのうち80点やってきました。
では購入した図録を見て思い出しながら、特に気になった作品についてメモ感覚で感想を書いてみます。
会場最初のフロアには作者不詳の15世紀末ヴェネツィア派の作品《聖母子》がありましたが、小さいながらも素晴らしい作品。図録の写真では、魅力半減、半減どころかそれ以下ですね・・布地の質感が抜群にすばらしいかったです。
フィリックス・ジームの《ヴェネツィアの風景》はちょっと欲しいと思ってしまった風景画。きれいで澄んだ空気を感じる青空に真ん中には宮殿と鐘楼、左右には船のマストを配置した海岸風景。ボキャブラリー不足でなんていったらいいのか難しいですが、絶妙な構図、タッチ、色彩が見事に合致した傑作に思いました。
アルベール・マルケの《マントンの港》もビュッフェを思わせる色彩で気に入った作品。これも欲しいと思ってしまいました。
19世紀ドイツの画家・クナウスが描いた《野原の少女》は草花を摘む小さな少女の姿を描いた作品。そのめちゃくちゃかわいらしい姿は思わず声をかけたくなるほどで、今展覧会の一番のお気に入りになりました。
ルノアールの《扇子を持つ女》はどうなんでしょう。悪くはありません。でもいささかルノアールの中ではそんなにグッとくるものではありませんでした。言ってしまうと中途半端な梅原龍三郎・・なんていったりして・・・。
マリー・ローランサンは《アルテミス》でしたが、彼女のを出品するのであればもうちょっといいローランサンが欲しかったです。
ゴーギャンの《果実を持つ女》は良かったですね。今回の目玉の一つなのでしょうね。ゴーギャンは個人的に駄作を見た記憶がないです。
ピカソの《農夫の妻》はちょっと今展覧会では浮いていたのではないかと思います。出品した意図はちゃんとあるでしょうけども、なぜ出品されたのかなあと首をかしげました。作品自体は嫌いではありません。逆に言うとそれだけ強烈だったとも言えます。
モネやボナール、マティス、ブラマンクなど印象派以降の作品がまんべんなくありましたが、全体としてはルネサンスからロココまでの時代の絵画がかなり光っていた印象でした。
コメント
私も観に行きました。
上野の森美術館にダリ展を観に行った帰りに行きました。
巡回で名古屋、京都を巡回するのを知らなかったので、最終日だったので逃してはいけないと思いました。エルミタージュ美術館展は
僕も何回も足を運んでいますが、
絵画が一万千点余りとは知らなかった。もっとたくさんあると思っていました。チラシに目を向けて見ましょうにも、コメントしています。