大正・昭和の風景版画家 川瀬巴水展の感想

0608270004.JPGこの感想を書く前に、この展覧会の前期の感想を書いただろうかを思って過去の記事を探してみたのですが、ありませんでした。これはいかん急いで感想を書かねばならないっと、誰の指示でもないのにまるで使命感を持った気持ちになり、キーボードを走らせている次第なのです。

そんな前置きはさておき、この川瀬巴水展は彼の版画芸術を思い切り堪能できたものでした。こういう機会を前々から待ちどおしかったものです。ニューオータニ美術館にて前期後期の2回見に行きました。

川瀬巴水は日本より海外からの評価が高い画家です。だから国内では絵が好きな人でもまだ知らない人が多いかもしれません。これからどんどん評価が上がっていく画家でしょう。そんな彼の版画作品を生まれてはじめて見た人は、その画風に引き寄せられてしまうことでしょう。

私が初めて巴水の作品を見たのが、東京国立博物館の常設展示でした。確か日本近代美術のコーナーでした。現在の近代美術コーナーは本館1階ですが、そのときは2階でした。いつだったかは忘れましたが、はじめてみた時のことをはっきり憶えています。

私はおもわず素晴らしいその版画数点に釘付けになりました。明らかに江戸時代の浮世絵とは違います。明治以降のものかなというはわかりました。「これはだれだ?おもいっきりノスタルジー漂うこの画風を描いたのはだれなんだ?」。私は川瀬巴水をいう画家をそのときまで知りませんでした。自分で発見したような気分でした。

そのとき以来、巴水の画集とか無いのかなと書店などで調べてみたことがあるのですが、比較的手にいれられたのは夕暮れ巴水―林望の日本美憧憬 という本だけでした。随筆家の林望氏は川瀬巴水の大ファンで、実際コレクターもしているそうです。今回の展覧会ではそれに加えて本格的な図録が加わりました。嬉しいことです。

巴水の絵は、日本人だったら一度は見たことがある風景ばかりです。

私が一番気に入っている一つに「大根がし」という作品があります。1920年大正9年夏に作成されたものです。大根河岸は京橋の傍らにある青物市場の様子を描いたものですが、今は見ることがない情景だと感じます。もしかしたら今もそういうところがあるかもしれませんが、少なくとも東京ではどうでしょうか。昔はこんな河岸だったんだなとその場面を実際入り込みたい気分になります。

あと特に印象的なものとしては、資料としてスケッチブックが展示されてあり、そのスケッチとは思えない完成度には感心しました。

DVD上映として「版画に生きる」という映像作品が流れていました。巴水がなくなる一年前の作品で42分30秒の長さです。みなさん展示作品そっちのけで見ていましたね。やっぱり映像の力はすごいですね。内容は巴水本人のスケッチする様子や、版画の製作過程が詳細に紹介されていて興味深く、貴重なものでした。また都市風景なども映り、当時の車とかも見られたりと、そこもまた貴重なものに思えました。

川瀬巴水に興味持つ人は増えればいいなと改めて思う今日この頃なのです。

夕暮れ巴水―林望の日本美憧憬
夕暮れ巴水―林望の日本美憧憬

Visions Of Japan: Kawase Hasui’s Masterpieces
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Colors Of The Seasons: Twenty Assorted Notecards And Envelopes (Deluxe Notecards)
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Kiyosumi Park, Tokyo Journal
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